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医療事故調巡り議論紛糾(日経新聞2015.2.23朝刊転載)

報告書巡り医療関係者と遺族対立

今秋に始まる患者が死亡した医療事故の原因究明や再発防止を目的とした「医療事故調査制度」の運用指針作りが紛糾している。事故発生後に医療機関が行う調査結果の遺族らへの報告を巡り、医療関係者と遺族らの間で意見が対立しているためだ。厚生労働省は2月中の取りまとめを目指し、25日に検討会を開くが、難航が予想される。

同制度は10月にスタートする。一昨年5月にまとまった同制度の骨格となる「基本的なあり方」では、制度の目的を「原因究明と再発防止」とし、「医療機関による調査報告書は遺族に十分説明のうえ開示しなければならない」とした。

ところが、昨年11月以降、医師や事故遺族ら24人の委員による具体的な運用指針作りが始まると、調査報告書の記載内容や取り扱いを巡り、意見の隔たりが表面化した。全国の医療法人でつくる一般社団法人「日本医療法人協会」の委員らは、「報告書に再発防止策は記載しない」と主張する。再発防止策を記載することは医療ミスを認め、裁判などの紛争や医師個人の責任追及に使われる懸念があるほか、医療現場の負担になるというのが理由だ。

これに対して医療事故に詳しい弁護士や事故の遺族らは「医療安全のために再発防止を検討し、明確になったものは記載すべきだ」と猛反発する。

報告書の遺族への伝え方についても、同協会側は「報告書を開示する必要は無い」と強調。遺族の委員は「開示されないと病院との信頼関係が悪化し、裁判をせざるを得ない状態になってしまう」と訴える。

「基本的なあり方」の策定に関わったNPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」の山口育子理事長は「制度の根幹から議論が後退している」と危惧する。

ただ報告書の内容や遺族らへの伝え方次第では「現場の萎縮につながる」と考える医療関係者は少なくない。運用指針は最終的に玉虫色の表現でまとまる可能性があり、議論の行方が注目される。

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